CRMとは?メリットとデメリットそして活用と運用のポイント
- georgenagao
- 2019年12月2日
- 読了時間: 10分
更新日:2019年12月25日
CRMの導入を検討している企業の方に向けて、基本情報から導入時のポイント注意点、さらには導入後の施策や活用法まで詳しく説明していきたいと思います。

CRMとは?
CRM導入にあたっては、CRMがどのようなシステムなのかを理解しておく必要があります。
CRMとは顧客関係を管理するマネージメント方法
顧客中心のビジネスを行うには、顧客情報を蓄積・管理してさまざまな角度から徹底的に分析し、顧客の嗜好に合った製品・サービスを提供する必要があります。
かつてのような台帳に顧客情報を記録し、経験と勘に頼る方法では現状の企業目標達成は達成することはできません。
CRM:Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネージメント)の略語で、「顧客関係管理」や「顧客管理」などと訳されます。
CRMとは顧客を中心に考える考え方
CRMでは「顧客」をビジネスにとって最も重要な要素と位置付ます。
かつて企業は「ヒト」「モノ」「カネ」優秀な人材、高品質の製品・サービス、資金の三つがビジネスを成功させるのに必要不可欠な要素と考えられてきました。
しかし、いかに優秀な人材が高品質の製品・サービスを提供しても、製品・サービスを購入する顧客がいなければビジネスは成り立ちません。
そこで顧客を中心に据え、事業戦略やプロセスも含めたビジネスを考えるのが、CRMなのです。
なぜCRMなのか?
ビジネス環境の変化に対応
ビジネス環境の変化により、顧客と効果的に接し管理をする必要性が高まったからです。多くの企業が顧客中心のビジネススタイルへ変革する必要性を感じ、CRMを積極的に導入し始めています。
一度失った顧客を取り戻すのは至難の業
経済成長が行き詰まり、少子高齢化による人口減少時代を迎えた現在、たとえ高品質・低価格な製品・サービスを投入しても顧客を獲得するのは困難な状況です。
例えば、住宅業界ではバブル期に比べて新築戸建件数が半分以下に減少しましたが、同じように市場規模が大幅に縮小した市場も少なくありません。
そうした業界では新規顧客の獲得はもちろん、一度失った顧客を取り戻すことは至難の業です。
また、インターネットの普及で、さまざまな商品やサービスが簡単に比較できるようになったことで、顧客を損失するリスクも生まれました。
結果CRMに注目が集まる
そのため、顧客のニーズや需要を正確に把握するためのCRMマーケティングに注目が集まりました。これまでの顧客情報管理では、顧客の実態を正確に把握することが難しかったのですが、CRMツールを使うことにより、多くの情報を把握することが可能になりました。一元管理された顧客情報の分析を行い、「見込み顧客」「既存顧客」「優良顧客」に分類し、アクションを行うことによって優良顧客へ育てます。
適切なコミュニケーションをすることにより、顧客満足度を上げたり、解約の阻止やリテンションが可能です。将来も引き続き自社の製品・サービスを購入してもらうように戦略を立案・実行することが可能になるのです。
CRMを活用することで効果的な施策を行うことができるため、多くの企業が注目し導入を進めています。
CRMのメリットとデメリット
CRMのメリットについて
CRMは、顧客情報を一元管理し、可視化や分析することで最適なアプローチが可能になります。
また、プロセスを改善して業務の効率化が図れる点にあります。
営業担当者だけが管理している顧客情報は、担当者によって管理が不十分だったり、フォローアップが適切にできなかったりすることがあります。
しかしCRMで一元管理されることによって、情報が可視化され、適切なフォローアップを見落とさずに行うことができるのです。
また共有された情報を分析にかけることによって、担当者と接点のない顧客が優良顧客になる可能性を持った顧客リストになることもあります。
マーケティングを行う際の仮想モデルデータにもなり、新たな戦略につながります。
顧客情報を部門内・社内で共有することができるため、複数の部門やスタッフで連携し、迅速で効果的なアプローチが可能になります。
また顧客情報が可視化されることで、顧客のニーズを正確に把握することができ、最適なタイミングで提案ができるようになります。
またマーケティング機能を活用すれば、確度の高い見込み客を限定することができるため、ピンポイントで購買意欲の高い層へのアプローチを行えます。
顧客視点から見ても、過去に購入したことがある商品・サービスに関連する情報や、サービス・サポートなど自分の属性に即した有益な情報を受け取ることができます。
また営業担当者が変わっても、一元管理されているので情報の漏れなく適切なフォローアップでストレスがありません。
CRMに蓄積された過去の履歴から、顧客の動向や効果を分析して、プロセスの改善につなげるPDCAサイクルを実行できます。
繰り返しPDCAサイクルを回すことにより、プロセスや戦略がよりよく改善され、柔軟に変更できる体制が整うでしょう。
CRMのデメリット
1:顧客データ一元管理体制の構築が必要
CRMシステムを導入しただけでは、十分ではありません。顧客中心のビジネスを成功させるには、体制やプロセスも含めて改革に取り組む必要があります。
例えば、顧客情報の管理を担当者任せにして名刺データベースだけを共有している企業ならば、すぐにでも顧客情報を全社で一元化するようにプロセスを変更しなければなりません。
2:導入コスト、運用コストがかかる
CRMシステムには、オンプレミス型やクラウド型、アカウント数や利用機能、データ容量によってさまざまな料金体系があります。
一般的に高機能で高速処理、データ容量が大きいほどコストがかかります。
オンプレミス型やオープンソースでもランニングコストはかかるため、比較的に安価なクラウド型のシステムサービスが人気です。
3:すぐに効果が現れない (定着するまで時間がかかる)
CRMは導入してすぐに効果が現れるものではありません。
CRMの目的が顧客満足度の向上や優良顧客の育成・維持のため、効果がすぐに現れにくいという面もあります。
CRMは定着してこそ効果が見えてくるものですが、導入後は社内プロセスの見直しなど試行錯誤しながら、システムの運用が定着するまでの期間が必要です。
効果が現れにくいと導入や運用に対して消極的になりやすいですが、目的をしっかり持ちシステム導入、定着するまで使い続けることと、使う続けられる体制構築が重要です。
CRMツールを選ぶポイントと各ツール比較
CRMツールを導入する際は何を基準に選ぶべきなのでしょうか。以下にCRMツールを選ぶ際のポイントと比較する際のポイントを紹介します。自社にとって最適なものを選定しましょう。
CRMツールを選ぶ3つのポイント
CRMツールを選ぶ際は次の3つに留意しましょう。
①使いやすさ・見やすさ
②必要な機能がそろっているか
③ツール定着までのノウハウとサポートがあるか
第一に、使いやすいシステムであることです。使いにくい、情報が見づらいCRMは、現場で使う営業担当者の負担になって使われない恐れがあります。
たとえば入力作業が簡単、スマートフォンやタブレット端末などで社外でも作業ができる、操作性がよいなど、使用者の負担にならない「使いやすさ」が重要です。
また入力作業だけでなく、「見やすさ」も使いやすさに直結します。
収集したデータが、簡単にグラフや表で確認できるかどうかも大切です。
必要な機能が不足しているのは困りますが、機能が多すぎて使いづらかったり、情報が見えづらかったりすることにも注意しましょう。
自社の課題を解決するために必要な機能を整理し、適切なツールを選択しましょう。
さらに前述したとおり、CRMの効果は定着するまでなかなか現れません。定着までのノウハウを持ち、きちんとサポートしてくれる体制の整ったベンダーを選択しましょう。
CRMの導入後における活用方法のポイント
CRMに情報を蓄積させ、活用することによって、効率的にKPIの管理も行うことができますがここからが大事なところです。どのように活用するのか、KPIを設けるポイントや、CRMの活用事例を紹介していきます。
Phase1:目標は何か、課題は何かを明確に
CRM/SFAを活用した戦略の立て方や、KPIの設定については、まず“何が課題”で“導入して何を叶えたいか”を明確にすることが重要です。
CRM/SFAの導入を検討している企業には、具体的な課題と叶えたい理想像・その指標が明確になっていないケースが少なくありません。
営業現場でのプロセスが可視化されていない状態で課題を明確にすることは困難で、データの整理から着手しつつ途方に暮れてしまうといったケースは意外と多いのです。
よってしっかり目標と課題を明確にしましょう。
Phase2:課題を整理し重要な指標(KPI)は何かを明確に
課題を整理し、「どのような目標達成のために何をするのか」ということが明確になると、どの指標に対してKPIを設定すればよいかおのずと見えてきます。
KPIは目標に到達するまでの中間指標です。KPIの具体的な数値は、過去の売上などから導き出した実現可能な目標数値を設定します。
KPIの達成状況を見ながら、適宜戦略の進捗見直しを行いましょう。
例えば営業部では、属人的で営業情報の見える化が重要です。その為に見るべき(マネジメントすべき)ポイントを明確にする必要があります。
「残業が多くなっている営業の負担を軽減するために、事務作業量を削減したい」と言うケースの場合は、業務の効率化に関する指標(行動量や時間)を定める必要があります。
また、「営業の受注率を向上させ一人の生産性を上げたい」と言うケースの場合は、営業の質と量に関する指標(成約率、案件数など)を定める必要があります。
Phase3:まずは情報蓄積とその”共有”から始めよう
もしうまく導入が済んだなら、CRM活用の基本は顧客情報の管理と分析です。
ただし、何もない状態からCRMを運用するには、それなりの経費や手間がかかります。
前途の通り、CRMを導入したからと言って、すぐに効果が現れるわけでもありません。
CRMを導入していない企業でも顧客データベースに顧客情報を記録していることが一般的です。
一般的に運用されている顧客データベースには、顧客の連絡先や購買履歴程度に限られています。それ以上の情報は「担当者任せ」の場合が少なくありません。
これでは、会社として顧客情報を有効活用することは困難です。CRMと単なる顧客データベースの違いは、蓄積できる顧客情報量、ビジネスにつながる分析能力に大きな差がある点です。
CRMでは非常に詳細な情報を管理できます。例えば、会社名、部署名、担当者名(キーマン)などの定量情報をはじめ、購買目的、志向やニーズなどの定性情報を含めて顧客属性として管理します。
また、購入した製品・サービス、取引数量・金額などの購買実績、頻度や予算、次期購入見込みなどの拡大余地に関する情報も登録しておきます。
CRMの活用は、これらのすべての情報を蓄積し、社内で共有することから始めます。
CRMの目的は、顧客それぞれに最適な製品・サービスを提供して顧客満足度を高め、顧客と良好な関係を構築して顧客の購買行動を維持することです。
そのためにCRMには顧客に関する詳細な情報を正確に蓄積していきましょう。
Phase4:既存顧客適用から優良顧客化へ > 新規顧客へ施策適用
CRMのメリットを比較的早期に得るには、まずは既存顧客に適用するところから始めるとよいでしょう。
既存顧客の情報を分析してニーズに合致した製品・サービスを個別に提供し、顧客満足度を高めて優良顧客を増やしていくのです。
既存顧客が優良顧客に育ち、自社の製品・サービスを継続的に購入してもらえれば、ある程度の売上・利益を確保できます。
既存顧客を対象にすることは、経費削減にも寄与します。
見込顧客を新規顧客として獲得するのは、既存顧客を維持するよりも数倍の経費がかかるため、既存顧客の管理状況と効果を見ながら適用するとよいでしょう。
顧客情報はCRMの活用によって可視化、多面的に分析できるようになると、ボトルネックが見つけやすくなります。
次の戦略材料が見つかりやすくなりますので、上記一連の流れのPDCA高速化が可能です。
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